2012/03/18 哀追 安永蕗子 様
熊本に歌人で 安永蕗子(やすなが・ふきこ) 様という方がいらっしゃいます。
戦後の歌壇を代表するお一人で、宮中歌会始選者であり、熊本の名誉市民でもあられます。
昨日、ご入院中の病院からご自宅までお送りする私のタクシーの車内で
お亡くなりになられました。
前日遅くに病院の緩和ケアの病棟からご依頼頂き、
当日、病室にストレッチャーで伺うと、看護師長さんから
「実は危篤状態で、ご自宅までは持たないかもしれません。」
と告げられました。
酸素を付け、看護師さんも同行し、出発しました。
約15分後、付添の看護師さんから
「呼吸の間隔が長くなっています。多分もう…」
そのすぐ後に、息を引取られました。
ご家族のご希望で、患者様に見せたいと、熊本で有名な江津湖という湖の側を通り
ご自宅にご案内し、用意されたお布団に移乗させていただきました。
運行中亡くなられた辺りは、患者様がお生まれになった場所だったそうです。
ご冥福を心よりお祈り致します。
本日の熊本日日新聞の掲載されたものです。
ご家族のお話しで、上の記事にもあるように、ご本人様はかねてよりご自宅に帰りたがって
いたそうですが、お体の容態も心配で、なにより帰る手段がなくあきらめていたところ、
病棟の看護師さんから、私をご紹介頂いたそうです。
昏睡状態が続いていましたが、病院を出発する前の
「今から、家に帰るよ!」
という言葉に、かすかに反応されたそうです。
「家には帰り着きませんでしたが、家に帰ることは分かっていたと思いますので
本人はうれしかったと思います。」
と言っていただきました。
日々の業務のなかで、ご利用者様からよく
「こんなタクシーがあるとは、知らなかった。」
という言葉を頂きます。
福祉タクシーはまだまだ知名度が低く、そのためご入院中の方、特に重症の方で
ご自宅に帰りたいのにあきらめている方が、たくさんいらっしゃると思います。
そういった方々を、少しでも多くご自宅にお送りできるよう
がんばらなければと思いました。
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